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唇の傷

高嶺の花は見上げるより登るに限る

に残酷なもの










「ただ?」







「今度会ったらただではすまぬ、ということじゃ」







「ただではすまぬとはどうするのです」







「それがわかれば苦労はせんわ」







「斬り殺しますか」







「斬り殺しはせん」







「困りましたなあ。呪い殺すこともできず、斬り殺しもせず」







「そのうち、考えます」







「でも、姉上、中納百度SEO言様にかわいそうなことをしましたね」







「なぜです」







「だって、姉上はその方のことが忘れられず家を出たのでありましょう」







「……いえ、その」







「女とは、げ」







「しっ、知りませぬ」







「私が占ってしんぜましょうか」







「なっ、なにをですか?」







「からなくとも、姉上の顔を見れば占えますが」







「よっ、よしなさい」







「本当にいいのですか」







「あっ、あのう」







 妙子は正座している膝をきつく寄せ、上目づかいに次郎丸を見た。







「どうします」







「では、次に会えるかどうか……。それ以上は見てはなりませぬ」







「はいはい」







 次郎丸の占う様子をじっと窺《うかが》っていた妙子が尋ねた。







「……どうです」







「ほう、次に会うのは祇園《ぎおん》ですな」







「祇園?」







「おっ、二人はむつまじく抱き合うていますぞ」
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